足がむくむという主訴で病院にいらっしゃる方はとても多いです
原因は多岐に渡り、また一部命に関わるような病気が隠れている場合もありますので注意が必要です。
以下、病的でないものと病的なものにわけて足のむくみの原因と対策方法を示します。
*あまり病的でないもの
- 長時間の同じ姿勢:ずっと座ったまま、ずっと立ったままなど長時間同じ姿勢を取り続けると足に血液がたまり、足がむくむことがあります。このようなケースですとそうした習慣を改善するか、弾性ストッキングという足を圧迫するストッキングをはくのが良いでしょう。
- 女性特有のむくみ:女性はホルモンバランスの問題や筋肉量が少ないことから足がむくみやすいです。このような場合は運動や休息、マッサージやストレッチなどで対処すると良いでしょう。弾性ストッキングの使用も良いと思います。
*病的なもの
- 心不全:心不全になり血のめぐりが悪くなると静脈血がうっ滞し、足に血が溜まりむくみを起こします。利尿剤などによる治療が必要になります。
- 深部静脈血栓症:飛行機などに乗った際に長時間同じ姿勢を取り続けることで足の静脈に血栓ができて足がむくむ病気です。整形外科の手術後などに、足をあまり動かせず血栓が出来てしまい足がむくんでしまうことも良くあります。大きな血栓ができた場合はそれが血管の中を流れていくと肺動脈に詰まり肺塞栓という命に関わるような病気を引き起こすことがあります。血をさらさらにするお薬や弾性ストッキングでの治療が必要になります。
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの低下が原因になります。原疾患にもよりますが、ホルモンの補充にて改善します。
- 肝臓の異常:血液中にはアルブミンというたんぱく質があり、これが血管の中に水分を取り込んだり排出したり調節する役割を果たしています。アルブミンは肝臓で作られるため、肝臓の機能が悪化した場合アルブミンの量が低下し、血管の中に水を保てなくなった結果足がむくんでしまうことがあります。このようなケースでは利尿剤のほか、原疾患の治療が重要です。
- 腎臓の異常:通常、尿からタンパクが漏れることはありませんが、ネフローゼ症候群という腎臓の病気になると尿中にタンパクが大量に漏れ出てしまいます。こうなると血液中のアルブミンが低下してしまい、肝臓の異常の時と同じように血管の中に水を保てなくなった結果足がむくんでしまうことがあります。このようなケースでも利尿剤のほか、原疾患の治療が重要です。
このように足がむくんだと言ってもたくさんの病気の原因が考えられます。原因をしっかりと突き止めて、適切な治療を受けることが重要です。
日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎