◯症状
寝ている時に大きないびきをかいていて、呼吸が途中で止まるなどのエピソードを他の人から指摘されるなどして気づきます。 口が渇いて目が覚めることもあります。夜間頻回に目が覚めるためその都度トイレに行きたくなることもあります。十分な睡眠が取れないため日中に耐え難い眠気に襲われることもあります。 朝方頭痛がひどい場合があります。
◯原因
①閉塞性睡眠時無呼吸
寝た後に喉の奥の筋肉が弛んで気道が狭くなったり閉じてしまったりします。これにより 十分な空気が得られず血液中の酸素濃度が低下してしまいます。 酸素レベルが低下すると脳が呼吸ができていないことに気づき一時的に眠りから覚めます。 これを一晩に何回も繰り返して、睡眠が障害されます。
肥満の方では 上気道の周りに脂肪が多く呼吸が妨げられます。また扁桃腺腫大なども気道を塞ぐ可能性があります。 アルコールは喉の奥の筋肉を弛緩させてしまうので無呼吸を悪化させてしまうことがあります。 また喫煙をしていると上気道の炎症などにより睡眠時無呼吸症候群になるリスクが高くなります。一般に男性は女性よりも睡眠時無呼吸症候群になるリスクが高いと言われています。女性も閉経後にリスクが高くなります。
②中枢性睡眠時無呼吸
脳が呼吸をする筋肉に信号を伝えられないときに発生します。
心不全患者さんに多いのが、 この中枢性睡眠時無呼吸です。脳卒中もリスクのひとつと考えられています。こちらも男性に多いと言われています。
◯合併症
睡眠時無呼吸症候群には非常に多くの合併症があります。
日中に耐え難い眠気や疲労感を感じるので、自動車事故などのリスクが上がります。夜間血中の酸素濃度が低下するので心臓や血管に負担がかかり高血圧のリスクが高まります。また心房細動などの不整脈発生のリスクも上がります。糖尿病やメタボリック症候群などのリスクも上昇すると言われています。
◯診断
まずは簡易睡眠時無呼吸試験という検査をおこないます。 自宅で検査が出来ます。 就寝時に携帯型の装置を装着して睡眠中の酸素飽和度や呼吸状態や心拍数を調べる検査です。入院して精密に低呼吸・無呼吸を測定することもあります。
◯治療
下記のアルゴリズムに沿って治療を決定します。肥満がある場合はまずは減量が大事です。
おおまかに分けてCPAPによる治療とマウスピースによる治療があります。CPAPとは持続性陽圧呼吸のことで、就寝時鼻にぴったりとフィットするマスクをつけて呼吸にあわせて空気を送り込み気道を広げる機械です。これによりほとんどの患者さんで、無呼吸が顕著に改善します。マウスピースは症状が比較的軽い人に適応があります。マウスピースをはめることによって下顎を数mm前に出した状態を維持し、舌の位置を上げることによって気道を広げて無呼吸を防ぎます。また、マウスピースをはめていると口呼吸ができないため、口呼吸から鼻呼吸へ習慣づけることにもなります。マウスピースは個人の歯型に合わせて歯科で作成します。一般の歯ぎしり防止用やスポーツ選手が使用するものとは異なります。
日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎