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循環器内科の病気

脳梗塞を引き起こす危険な不整脈 心房細動

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検診で心電図を取ったところ心房細動と言われました。どんな病気ですか?

心臓には電気が流れていますが、電気が流れることにより拍動しています。正常では心房(心臓の4つある部屋のうち上側にある2つの部屋)の洞結節という部分で発火した電気が心房全体に伝わり、その電気が房室結節という中継地点を通り、最終的に心室(下側の2つの部屋)に電気が流れます。心房の洞結節は発電所と考えると良いと思います。本来は発電所で規則正しく電気が生まれるため、正常では洞結節で1分間に60回電気が生まれ、その電気が心室に伝わっていき、拍動は60回/分となるのです。心房細動では心房に無秩序な電気が発生し、なんと心房の興奮頻度は300-600回/分に及びます。通常の5倍から10倍の頻度で興奮するとどうなるでしょうか?きっちり収縮する前に次の興奮がくるわけですから、心房は痙攣したようにぷるぷる震えてしまうことになります。これが心房細動という病気です。通常の収縮が出来ないわけですから当然血の巡りは悪くなりますし、血が滞留し、よどんで血栓ができやすくなります。血栓が頭に飛べば脳梗塞になりますし、足に飛べば足の血流が途絶えて足が壊死してしまうこともある危険な病気です。


どんな症状がありますか?

個人差が大きく、動悸や息切れ、ふらつき、胸の苦しさ、眩暈、胸の痛みなど様々な症状を呈します。無症状の場合も比較的多くありますので注意が必要です。


原因は何ですか?

高齢、高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、心不全、弁膜症、甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群、飲酒、喫煙など多くの誘発因子があります。


どうやって診断しますか?

心電図をとるとすぐにわかります。手首の検脈でも不規則な脈を触れます。


どんな種類がありますか?

持続時間の長さによって、発作性(7日以内)、持続性(7日を超える)、長期持続性(1年以上)に分類されています。


どんな治療がありますか?

  1. 抗凝固療法:上述したように心房内で血が淀み、血栓が出来やすくなります。血栓リスクを年齢や高血圧の有無等で層別化し、有益と考えられる場合は抗凝固薬を開始することとなります。以前はワーファリンという納豆などを食べてはいけないお薬しかありませんでしたが、現在は特に食事制限のないお薬もたくさんでていますのでご安心下さい。
  2. お薬での治療:心臓の状態によって、心房細動のまま脈をゆっくりにするお薬や、心房細動を止めるようなお薬を使います。
  3. カテーテル治療(カテーテルアブレーション):不整脈の原因となっている部分の心筋を直接焼いたり冷凍したりする治療です。心房細動に対する根治的な手術になります。特に発作性の心房細動に対する有効性は9割程度あります。最近は技術も進化し発作性心房細動だけでなく、持続性心房細動に対するアブレーションも比較的良好な結果になってきています。アブレーションの方法としては高周波や冷凍凝固などがあります。おおむね3泊4日程度の入院・治療期間になります。アブレーション治療により脈が正常に戻ると、脳梗塞や心不全発症リスクが低下します。心房細動の治療においては脳梗塞・心不全の予防がとにかく大事です。症状が全くなくても脳梗塞を引き起こしてしまうことがあるのがこの病気の怖い点です。また症状が無い人ほど、たとえ指摘されても治療に積極的になれずに合併症を引き起こしてしまいがちです。心房細動でできる血栓は大きく、脳梗塞も重症になりやすいと言われています。もし検診等で指摘された場合は必ず病院を受診しましょう。

日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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