一般内科の病気

見落とされがちな体調不良の原因 甲状腺機能低下症

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◯どのような病気ですか?

甲状腺機能低下症は甲状腺が甲状腺ホルモンを十分に作れず甲状腺機能が低下してしまう病気です。 病気が進行すると様々な症状を引き起こします。30代から50代の女性に多いと言われています。 甲状腺ホルモンにより比較的安全に治療できるので、早期発見が大事です。

◯どのような症状が出ますか?

甲状腺ホルモンが欠乏することにより、新陳代謝が遅くなり全身に影響を与えるので、症状は多岐に渡ります。 体のだるさ、便秘、体重の増加、体のむくみ、寒さに耐えられなくなる、月経不順、うつ傾向、認知症、心拍数の低下、血中コレステロール値の上昇などが見られます。また心不全になったり、ひどい場合は昏睡状態に陥ったりすることもあります。

◯どのように診断しますか?

採血で甲状腺刺激ホルモンや甲状腺ホルモンを調べることにより診断します。

◯原因としては何が考えられますか?

最も多い原因としては橋本病と呼ばれる自己免疫疾患が挙げられます。本来自分の体を守るはずの自己免疫が自らの甲状腺を攻撃して、甲状腺が傷ついてしまい甲状腺ホルモンを十分に作れなくなってしまう病気です。その他にも脳にある下垂体の機能が低下して甲状腺刺激ホルモンを十分に甲状腺に送ることができず結果として甲状腺機能が低下してしまう病気の場合もあります。 またウイルス性疾患が原因で甲状腺に炎症が起きる場合があり、この場合でも経過とともに甲状腺ホルモンが作れなくなることがあります。

◯どのような治療がありますか?

甲状腺ホルモンによる補充療法が一般的です。 一過性の甲状腺の炎症の場合は治療を必要としない場合も多くあります。それに対し永続的な甲状腺機能低下症の場合は甲状腺ホルモンによる内服治療を行います。ただし心臓に病気がある場合は、甲状腺ホルモンを通常用量で開始すると狭心症や心筋梗塞を引き起こす可能性がありますので少量から始めることが重要です。

◯どのようなことに気をつけると良いでしょうか?

甲状腺機能低下症がある時に気をつけるべきこととして、ヨウ素を多く含む海藻類の大量の摂取を控えることがあります。 通常ヨウ素は体の中に入ると甲状腺に取り込まれ、甲状腺ホルモンの原料になります。しかし 過剰なヨウ素を摂取すると甲状腺が壊されてしまい、甲状腺機能がさらに低下してしまう可能性があります。そのため甲状腺機能低下症の患者さんでは、昆布やひじきなどの海藻類を取りすぎないようにする必要があります。またうがい薬のイソジンガーグルなどもヨウ素が多いので注意しましょう。


日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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