健診を受けて、「糖尿病予備軍」「糖尿病の気がある」などと言われたことはありませんか?
糖尿病の患者数は予備軍を含めると2000万人にも達すると言われています。 糖尿病の前段階である境界型糖尿病(HbA1c 6.0%、空腹時血糖110mg/dl、食後血糖140mg/dl以上)でも狭心症や心筋梗塞などの危険性が上昇するなど人体に大きな影響を与えるということが分かってきており注意が必要です。また境界型糖尿病の方のうち、1年間で5/100人程度の方が糖尿病に進行すると言われています。境界型糖尿病の時点でインスリン分泌は正常の人の50%まで低下していると言われていますが、大事なホルモンが半分しか出ないのは明らかに異常な状態と考えられます。
それよりさらに前の段階である正常高値血糖(HbA1c 5.6-5.9%、空腹時血糖100-109mg/dl)ですら、認知症の発症リスクが上がることが複数の研究で知られていますので、出来る限り早い段階からしっかりと管理をしておくことが大切です。
「隠れ糖尿病」は空腹時の血糖値に問題はないが食後の血糖値が高くなる状態で、一般的な健診などの採血検査などでも異常があらわれず、気づかないうちに糖尿病が進行してしまうことがある危険な状態です。ではこの「隠れ糖尿病」をどのように診断すれば良いのでしょうか?これを調べるためには、OGTT(ブドウ糖負荷試験)という検査があります。これは 75gのブドウ糖を飲む前と飲んだ後の血糖値を調べることにより、食後の血糖値上昇の程度を調べる検査です。これにより正常なのか糖尿病なのか、それともその境界にあるのか調べることができます。食後2時間の血糖値も測るため、待合室で2時間ほどお待ちいただく必要がある検査となります。
OGTTを推奨するラインは正常高値血糖(HbA1c 5.6-5.9%、空腹時血糖100-109mg/dl)から境界型糖尿病(HbA1c 6.0%、空腹時血糖 110mg/dl、食後血糖140mg/dl以上)までです。このうち、高血圧や高脂血症、肥満など動脈硬化のリスクを持つ人は特にこの検査を行うことが望ましいとされています。
では隠れ糖尿病と言われたらどのようなことに注意すれば良いでしょうか?食後高血糖は血管にストレスを与え動脈硬化を促進するといわれています。血糖値が一気に上昇しないように、ゆっくりよく噛んで食べるということが大切です。また適度な運動習慣も大切です。高血圧や高脂血症、肥満のある方はそちらの管理も重要です。
現代社会において、糖尿病は中高年に多い病気とは言えなくなりました。30代でも発症する人が増えており、痩せている人であってもリスクが潜んでいます。早期発見して合併症などのリスク軽減に努めましょう。
日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎