１．原因
関節リウマチは、免疫の異常により関節内にある滑膜という組織に炎症が起こり、関節の痛みや腫れ、熱感、朝のこわばり感などを引き起こします。
原因はまだ不明ですが、遺伝的要因や、細菌やウィルスの関与、歯周病、喫煙や過度のストレスなどの環境要因も関与していると考えられています。男女比は１：３～４と女性に多く、30〜50代の中年以降に多く見られます。
２．症状
手足の関節の腫れや熱感、痛み、こわばり感が挙げられます。典型的には手指関節に起こることが多いですが、他にも手首、肘、肩、股関節、膝、足趾など、色々な関節に起こります。
症状は朝が一番強く、午後になるほど軽快することが多いです。
慢性的な炎症により関節の変形が進んでしまうこともあります。関節リウマチは、放置すると関節破壊や機能障害を引き起こすため、早期発見・治療が必要です。
３．診断
関節リウマチの診断は、主に症状や身体検査、血液検査などで行われます。エコー、レントゲン、MRIなどの画像検査も有用です。
それぞれの検査の結果から、総合的に診断を行います。
４．治療
関節リウマチの治療には、症状の重症度、進行度合い、患者さんの年齢や生活状況、合併症の有無などを考慮して、薬物療法、リハビリテーション、手術療法などの治療法があります。以下でそれぞれの治療法について説明します。
薬物療法
- 非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）
関節炎による痛みや腫れ、熱感などの症状を和らげる効果があります。
- 抗リウマチ薬（DMARDs）
免疫細胞の活性化を抑制することで、関節炎や骨破壊を抑える効果があります。
①免疫抑制薬
メトトレキサート、タクロリムスなどがあります。
リウマチで第一選択として使用されているのが、免疫抑制薬であるメトトレキサートです。
②免疫調節薬
サラゾスルファピリジン、ブシラミン、イグラチモドなどがあります。
比較的軽度のリウマチの方に使用することが多いです。
③分子標的薬
a.生物学的製剤（注射薬）
①や②で治療効果が不十分な場合や、病勢が強い場合などに使用します。
b.JAK阻害薬
こちらも①や②で治療効果が不十分な場合などに使用します。
- 副腎皮質ステロイド
強い抗炎症作用がありますが、様々な副作用もあるため、使用する場合は初期治療等で補助的に使用します。
リハビリテーション
関節リウマチの治療には、リハビリテーションも効果的です。
炎症の活動期においては、関節保護が必要となってきます。炎症の強い関節には固定具を使用し、痛みを和らげる工夫をします。ただ、関節を動かさないでいると筋力低下がおこり、逆に関節に負担をかけてしまうこともあります。関節痛を生じないようにしながら筋力訓練を行うことも重要です。
また、体幹安定性の向上には、コアトレーニングやバランストレーニングが有効です。体幹の筋力を強化し、バランス感覚を向上させることで、日常生活動作の安定性を高めることができます。
手術療法
変形した関節に対する人工関節手術（膝、股関節など）、関節固定術、関節形成術などが行われます。
総合的な治療により、関節リウマチの患者さんの症状を緩和し、関節の損傷を最小限に抑えることができます。
関節リウマチの治療には、患者さんの症状や身体状況に合わせた個別の治療計画が必要です。早期の診断・治療を行い、定期的な検査や治療を継続することで、関節リウマチによる身体的・精神的な負担を軽減することができます。
日吉かもめ内科・整形外科クリニック 藤崎 真理
