◯帯状疱疹は外来で比較的よく遭遇する疾患です
「風がふくだけでも痛い」と評されるほどの痛みがでることで有名で、放置した場合に頑固な痛みが長期間続いたり、中には一生消えないで残ってしまうこともありますので注意が必要です。50～70歳代の方に多い疾患であり一生で3人に1人が発症すると言われております。
◯帯状疱疹の原因はウイルスの感染です
原因ウイルスは小児期に水ぼうそうを引き起こす水痘帯状疱疹ウイルスであり、実はほとんどの人が既に感染しています。このウイルスはその後、脊髄近くの後根神経節（顔面の場合は三叉神経節）と呼ばれる部位に潜伏しており、再び活性化するチャンスをうかがっています。この状態では体に症状は現れず、薬剤も無効です。そして、加齢、ストレス、過労などにより免疫力が低下したときに、潜伏していたウイルスが再び活動を始め、神経節から皮膚へと移動し発疹が出るのです。
◯どのような発疹が出ますか？
皮疹の出方ですが、水ぶくれを伴った赤い発疹が、体の左右どちらかにに帯状にでることが多いです。顔に出る帯状疱疹の場合は眼や耳に影響を与えることがありますので注意が必要です。
◯どのように診断するのですか？
慢性的な痛みにならないようにするためには、初期の治療をしっかり行うことがとても重要といわれています。虫刺されにもよく似ているため、見過ごされるケースが多いです。そのため見分けが難しいケースでは水痘・帯状疱疹ウイルス抗原キットを使用し、確実に診断することが大切になります。
◯帯状疱疹を予防する方法はありますか？
帯状疱疹を予防する方法として、食事・睡眠・運動が大事で免疫力を低下させないことが重要です。その他にはワクチンを接種するという方法もあります。現時点では 50歳以上の方に適応があります。過去に帯状疱疹にかかっていても接種することができます。
◯ワクチンには2種類あります
➀ 弱毒生ワクチン
もともと小児の水ぼうそう用のワクチン。2016年から帯状疱疹予防に使用できるようになりました。1回接種になります。
② シングリックス
ウイルス表面タンパクを抗原とした組み換えワクチンです。2か月後に2回目の接種を行います。
2種類のワクチンの違いですが ②のワクチンの方が有効性が高いですが、➀に比べ高価です。
日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎
