破傷風とは?
破傷風を引き起こす破傷風菌は広く土壌に生息しています。錆びたくぎが足に刺さったり、傷があるところに土いじりをしたり、動物にかまれたりした場合に菌が体内に侵入します。潜伏期間は約10日です。破傷風菌は強力な毒素を作り出し、神経系を障害し、けいれんや呼吸困難などの症状を引き起こします。通常顎の痛みやこわばりから症状が始まり、体の下の方に進行していきます。現在でも死亡率の高い恐ろしい病気です。
1967年以前に生まれた方は過去に定期接種で破傷風ワクチンを打っていませんので、基礎免疫がありません。そのためまずは3回接種が推奨されます。破傷風の予防は、破傷風トキソイドを3~8週間の間隔で2回接種後、4週間で免疫を獲得できます。その後、感染防御効果を持続するためには更に 6~12ヶ月、あるいは1年半後に3回目のワクチン接種を行えばほぼ100%の効果が得られ、約10年免疫状態が続きます。1968年以降に生まれた方は定期接種で三種混合ワクチンを打っている世代ですので、追加接種は三種混合ワクチンを使用します。
怪我をした時などで、傷が深く汚染が強い時は緊急接種として破傷風トキソイドを打つことがあります。最後に打ってから5年以上経過している場合で、傷口の破傷風感染リスクが高い場合は破傷風ワクチンを一回接種したほうが良いでしょう。
副反応はありますか?
副反応としては、全身症状として、発熱・悪寒・頭痛・倦怠感・下痢・めまい・関節痛などがあります。また局所症状として発赤・腫脹・疼痛・硬結などがみられることがありますが、通常、数日中に消失します。
成人で破傷風予防接種の対象となる方は下記の方です
- 途上国への渡航を予定している方、長期の海外赴任を予定されている方
- 10年以上追加接種を行っていない方
- 創部の感染リスクが高く最後の接種から5年以上たっている場合
- 昭和42年以前に生まれた方(当時定期接種の対象になっていなかったためです。)
- 転倒の危険が高い方
- 園芸や災害医療などに従事される方
日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎