足の冷えは「冷え性」によるものだと思っている方も多いのではないでしょうか?
足の冷えは足の血管の動脈硬化によって起きていることもあり注意が必要です。これを「閉塞性下肢動脈硬化症」といいます。足の血管の動脈硬化が進み、血流が悪くなることで、歩いた時に足の痺れや痛み、冷たさを来すようになります。休むと軽快するのが特徴でこれを「間欠跛行」といいます。さらに進行すると安静時にも足の痛みが出るようになり、そのまま放置すると壊死して切断が必要になることもあります。
どのような検査がありますか?
手足の血圧を同時に測ることで足の動脈に狭いところがあるかないか簡単に調べることができます。重力がありますから、通常足で測る血圧は手で測る血圧より高くなります。足の血管に細いところがあると足の血圧が手の血圧より低くなってしまうのです。このような所見がある場合、さらにどこに狭窄があるか調べるためエコー検査やCT検査を行います。症状に困っていて治療が必要なケースではさらにカテーテル検査などの詳しい検査を行っていきます。
閉塞性下肢動脈硬化症の治療はどのようなものがありますか?
- 運動療法、生活指導:歩くことがとても大事です。歩くことでたとえ足の動脈に細いところがあったとしてもそれを補う血管が発達していくのを促すことができます。ただし足に痛みがでるまでやると逆効果ですからやりすぎには注意しましょう。その他生活面では禁煙や水分摂取、足の清潔を維持することが大事です。
- 薬物療法:血をさらさらにする薬が効果的です。一部の薬では歩行距離の改善や症状改善効果が認められています。
- カテーテル治療、バイパス手術:細くなった血管を拡げたり、迂回路を作る治療があります。カテーテルによる治療が可能な病変から手術が必要な病変まで様々です。
足の血管が細くなっている方は心臓や脳の血管も細くなっていることが多く、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を起こすことがあります。血管は全身に張り巡らされているので、一つの疾患と考えるより全身の血管病と捉えると良いでしょう。
日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎