検査の異常

全ての臓器と細胞に作用する甲状腺ホルモン

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甲状腺ホルモンとは?

甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を制御するホルモンで、食べたものをエネルギーに変換する作用があります。 甲状腺は首の前側にある蝶の形をした組織で、そこからT4とT3という甲状腺ホルモンが分泌されます。実際に甲状腺から分泌されるのはT4がほとんどです。このT4に活性はあまり無く、肝臓などの臓器で活性のあるT3に変換されます。実際にホルモンとして代謝に影響しているのはこのT3になります。従って、T4の数値を見れば実際にどれだけ甲状腺からホルモンが分泌されているか分かりますし、T3の数値をみれば実際にどの程度体に作用しているのかが分かるということになります。

甲状腺ホルモンは体の中ではどのようにコントロールされていますか?

脳の中にある視床下部が、TRHというホルモンを分泌し、これが脳の中にある下垂体を刺激してTSH(甲状腺刺激ホルモン)というホルモンが分泌されます。 次に TSH は甲状腺を刺激して T3とT4が生成されます。そのため、 視床下部、下垂体、甲状腺のうちどこかに問題があると最終的に生成されるホルモンであるT4、T3の値に異常が出ることがあります。

何故このような複雑なシステムなのでしょうか?実はこの複雑なシステムが緊急事態に対する安全機構とも考えられるのです。

たとえば、何らかの原因でT3やT4が上昇すると、これ以上T3やT4が増えないように、TRHやTSHの放出が抑えられます。逆にT3とT4が低下すると 、T3とT4を増やす必要がありますので、TRHやTSH の放出が促進されます。こうして体内の甲状腺ホルモンのレベルを一定に保つべく、各器官が連携してフィードバックをかけているのです。このフィードバックがおいつかないとT4やT3の値に異常が生じて様々な症状を来すこととなります。

甲状腺ホルモン(T4やT3)に異常があるとどのような症状がでますか?

甲状腺ホルモンは体内の全ての細胞と臓器に影響しています。具体的には、代謝、心拍数、体温、胃腸の動き、脳の発達などと関連しており、ホルモン異常があれば実に様々な症状を来します。甲状腺ホルモンが多い場合は体重が減ったり、汗をかきやすくなったり、脈が早くなって動悸がしたり、下痢をしたりすることがあります。逆に甲状腺ホルモンが少ない場合は体重が増えて体がむくんだり、寒さに弱くなったり、脈が遅くなったり、便秘をしたりすることがあります。

日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎

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