◯健診で尿に蛋白がでていると言われました。どうすれば良いですか?
健診で蛋白尿を指摘された場合はまず再検査が必要です。30歳以下の若年者の場合起立性蛋白尿と言ってあまり病的意義のない蛋白尿の可能性も高いので、早朝尿などを採取することにより除外していきます。その上で再度蛋白尿が検出されるようであっても、漏出する蛋白量が500mg/日以下であれば経過観察となります。一方、500mg/日以上の蛋白量であったり、血尿を伴っていたり、腎臓機能の低下があったりする場合はさらなる詳しい検査が必要になります。
◯健診で尿に血が混じっていると言われました。どうすれば良いですか?
尿に血が混じっていることを尿潜血といいます。健診で尿潜血がある場合、尿沈査という顕微鏡検査で本当に尿に血が混じっているか確認します。尿沈渣で3回陰性が確認できれば大きな問題はありません。一方尿沈渣で陽性となるようであれば真の血尿として原因を調べる必要があります (女性であれば経血によるものの可能性も考慮します)。 真の血尿がある場合大きく分けて二つの可能性があります。
①腎臓の問題
一つは腎臓に問題があって血尿が出ている場合です。 尿沈渣で赤血球円柱や変形赤血球があったり、蛋白尿ともなっていたり、腎機能障害がある場合は腎臓の問題の可能性があります。ひとくちに腎臓の問題といっても様々な疾患が考えられます。急性糸球体腎炎や急速進行性糸球体腎炎では早期に治療を行ったり腎生検を行ったりすることが予後の改善につながります。 一方慢性腎炎症候群などで血尿しかない場合はそのまま経過観察できる場合もあります。
②尿路の問題
もう一つは膀胱や尿管などの尿路に問題があって血尿が出ている場合です。 原因としては膀胱炎や尿管結石、尿路系悪性腫瘍の可能性などがあります。無症候性肉眼的血尿と言って目で見て血尿と分かるような場合で、痛みなどの症状がない場合は悪性腫瘍の関与の可能性が高まるため注意が必要です。 癌のリスクに応じて検査が選択されますが、超音波検査や尿細胞診検査、疑わしい場合は膀胱鏡検査やCT尿路造影を行うこととなります。
◯血尿やタンパク尿が出ているけどこれくらいは問題ないと言われました。大丈夫でしょうか?
このように説明されたことのある方は比較的多いのではないかと思います。ただ、あまり詳しい説明はされずずっと不安に思われている方も多いのではないでしょうか?
こうした方の血尿や蛋白尿の原因としては、高血圧や糖尿病、慢性糸球体腎炎によるものが多いと言われています。その場合、基本的には血圧・血糖値・脂質などの生活習慣病の管理が大切となりますので、検尿や採血検査を行いながら経過をみていけば良いでしょう。経過の中で血尿に蛋白尿を伴ってきたり、また尿蛋白の量が増えていく場合は精査していくという方針で良いでしょう。
日吉かもめ内科・整形外科クリニック 杉本 洋一郎